第6章 ※やり直し
その柔らかい空気の中、二人は暫く何度も抱き締め直しながら体温を分け合った。
そうしてつむぎが幸福感を味わっていると、杏寿郎が腰を緩く優しく動かし始めた。
「きょ、杏寿郎くん…もうだめだって。傷がこれ以上開いたら…、」
杏「きちんと呼吸で止血している。君も分かっているだろう。」
そう言われると眉尻を下げて赤く濡れた包帯を見つめる。
「……でもさっき出した時に意識が緩んじゃったんじゃないかな…。たぶん杏寿郎くんが思ってるより血が出ちゃってるよ…。」
杏「大丈夫だ。頼む、今したいんだ。…つむぎ。」
杏寿郎はそう縋るように名を呼ぶと、つむぎに優しく口付けて首元に頬擦りをした。
その甘えたな仕草につむぎの心が揺れる。
「で、でも…、」
杏「つむぎ、好きだ。頼む。」
杏寿郎は眉を寄せてつむぎを見つめながらそう強請るように訴えた。
つむぎは言われ慣れていない異性からの好意に弱い。