第6章 ※やり直し
杏「君は」
「それでも一緒にいたいと思うのはきっと杏寿郎くんだけだよ。」
杏「きっとだと。」
「ぜったいです。」
それを聞いた杏寿郎は体を離してつむぎの顔を覗き込む。
先程まではつむぎを苛めて愉しそうにしていた杏寿郎であったが、今は少し不安そうにさえ見えた。
杏「ずっと俺の元にいると約束してくれるか。離す気はないが、そうではなく…、君の意思で留まってくれるか。」
つむぎはそれを聞いて小さく微笑んだ。
「杏寿郎くんを嫌になったかって訊かれた時答えに詰まっちゃったのは、杏寿郎くんが本当に私のことを大事に思っているのか疑問に思ったからだよ。でも…、」
そう言いながら杏寿郎の頬を両手で包み込む。
「……うん。大丈夫。愛情はちょっと…その、変わってるけど、なるべく全部受け入れるよ。」
杏「なるべくとは具体的に」
「全部受け入れる。」
それを聞いた杏寿郎は嬉しそうな笑みを浮かべてからつむぎをぎゅうっと抱き締めた。
(……すごい二面性…。他の場面で爆発する可能性もない訳じゃないし…これからは私がたくさん話を聞いてあげなきゃ。)
つむぎはそう思うと杏寿郎の傷だらけの体を思い遣って、優しく大事そうに抱き締め返したのだった。