第6章 ※やり直し
「あのね、この前…っ、元下弦の壱を…一人で斬ったの!甲に上がるかな!?討伐数も…多いし…っ、私もッ」
息が十分に整わないうちにそこまで話した後、つむぎは酷くむせてしまった。
毒気抜かれた杏寿郎の眉尻が下がる。
杏「大丈夫か。すまない、手酷くしてしまったな。」
杏寿郎は一変してつむぎの上体を優しく起こさせると大事そうに抱き締めた。
「………………杏寿郎くん……?」
不思議そうな声を聞くと抱き締める腕に力がこもる。
杏「……君を大事にしたいし嫌われたくもないのに、たまにどうしようもなく苛めたくなってしまう。肉体的にも精神的にも。」
「うん。とっても知ってる。」
散々好き放題されたつむぎは気を遣わずにそう答えた。
それでもその瞳は優しい。
その瞳のまま杏寿郎の大きな背に手を回し、ゆっくりと優しく撫でた。