第6章 ※やり直し
杏(そろそろ本当に嫌われてしまうだろうか。)
そうは思うも、こてんぱんにやられ惨めに泣くつむぎの姿がどうしようもなく愛らしく見えてしまう。
杏(いや、どう考えてもやり過ぎだ。好きな子を泣かせては駄目だろう。)
杏寿郎はやっと普通の思考を取り戻すと腰の動きを緩くし、つむぎの額に優しい口付けを落とした。
それに驚いたつむぎは泣き声を上げるのを止め、眉尻下げる叱られた子供のような顔で上目遣いに杏寿郎を見上げた。
杏(……つむぎの煽りも十分質が悪いと思うのだがな。)
そんな事を思いつつ優しく微笑む。
杏「つむぎ、すまなかった。だが君を虐めようとして中に出した訳ではない。この先もずっと君を他の男に渡したくないという意思を示したくて出したんだ。」
「それは……だからといって許せる話じゃ…、」
そんな言葉を聞いても杏寿郎は笑みを絶やさない。
杏「胡蝶に頼んでみると良い。」
「しのぶさんに…?何を……?」
つむぎがそう訊いてからしゃっくりをすると、杏寿郎は恥じるつむぎの頭を優しく撫でた。