第1章 始まり
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そして十五日後の昼間、ひょっとこのお面を被った男がつむぎの刀を持って訪ねて来た。
鋼「こんにちは。私は鉄穴森鋼蔵という者です。つむぎさんの刀を届けに参りました。」
庭へ回って来たその男を見ると、つむぎは素振りを止めて駆け寄った。
「つむぎは自分です!どうぞ中へお上がり下さい!」
そう興奮気味に言うつむぎを、父のかざみは複雑そうな顔で見つめた。
か「……悪いが各自素振りを続けていてくれ。すぐに戻る。」
弟子「「はい!!」」
かざみは弟子達にそう断りを入れるとつむぎの後を追った。
(う…鉄穴森さんの前で握ることになるなんて…。色が変わらなかったらどうしよう……。)
「……で、では…失礼します。」
そんな言葉が聞こえ、状況を把握したかざみは急いで客間の戸を開けた。