第1章 始まり
「お父様、私はもう力を認められた鬼殺隊士です。お父様に『向いてない、諦めろ』と言われても引き下がりません。」
か「……だが…………、」
かざみはいつも使っていた文句を封じられ、言葉を詰まらせてしまったのだった。
それから憔悴しきっていた母親にも顔を見せ、頬を叩かれてから自室へ向かった。
「………色々な意味で疲れた…。」
そう呟きながら腹に手をやる。
(もうお昼過ぎだけど食欲ないな…。)
結局、日が昇ってからまだ寝ていなかったつむぎは布団を敷き、浴衣に着替えるとすぐに横になった。
しかし、疲れている筈なのに眠くならない。
(……………早く寝て夜型の生活にしなきゃ。)
そう思うと無理やり目を瞑った。
そして、やる気みなぎる興奮を胸に抱きながら、僅かな不安を消し飛ばすように拳を握った。
(早ければ十日後には指令が来る。お父様に何て言われようと、お母様にどれほど怒られようと、私はお父様やお兄様を抜くぐらい…男の人よりも強くなるってもう決めたんだから。)