第5章 ※逆鱗
「きょ、杏寿郎くん…いたい…っ」
杏「あと二つだけ我慢してくれ。」
そう言うと口を開き、ガリッとつむぎの肩を噛む。
杏(きちんと付いたろうか。)
そう思って見下ろした噛み跡には僅かに血が滲んでいた。
それでも、杏寿郎はそれを愛おしく思えてしまった。
杏「あと一つだ。」
「んッ」
つむぎは再び鋭い痛みを感じ、眉尻を下げて目を瞑った。
(………………………終わった……?)
つむぎが瞼を上げると、杏寿郎はそれを待っていたかのように口付けた。
ほんのり血の味がする口付けにつむぎの不安はどんどん大きくなっていく。
(私の知ってる杏寿郎くんじゃない…。すごく怒ってるし…。)
そんな事を思っていると胸に熱い手が触れる。
つむぎは肩を跳ねさせた。