第5章 ※逆鱗
杏「もう見た目云々の域を超えている。恋人になった後きちんと伝えたろう。」
晒の端を見付けると、杏寿郎はつむぎの手を引いて上体を起こさせた。
すると晒はハラハラと解けていく。
つむぎはハッと我に返ると、それを留めようとした。
しかし、杏寿郎がつむぎの手首を掴んで離さない。
「む、胸なんて見られてない…から、」
杏「君の『されてない』はもう信用出来ない。」
杏寿郎は晒が解け終わったのを確認すると、再びつむぎを押し倒した。
そして、その白い肌と邪魔な赤い跡を眺める。
「杏寿郎くん…ごめんなさい。さっき言ったこと謝るから…、だからもう、」
杏「君は諦めが悪いな。そこも好きだが今回は譲れないんだ。君が折れてくれ。」
そう言うと跡が散る左肩に顔を埋める。
「…ッ」
杏寿郎は宣言通り、痛みを覚える程強く "上書き" をし始めた。