第5章 ※逆鱗
「い、や…、」
怯えるつむぎが自身を通して違う男を見ているのだと察した杏寿郎は激昂した。
杏「こうされたのか。…他の男に。」
「ご、ごめ…なさ…っ、やく束、守れなくて…っ」
杏「されたんだな。」
杏寿郎は噛み付くように言うと首の華を撫でた。
杏「こんな跡を付けさせるとは。…ここの他にもあるんじゃないだろうな。」
"跡" と聞くと、つむぎは涙を溢しながら首を横に振り続けた。
その様子を見た杏寿郎は目を見開き、嫌がるつむぎの隊服のボタンに手を掛ける。
「やめ、て…!やだっ」
杏(まさか…どこまで…、)
バッとはだけさせた先には噛み跡と華が広がっていた。
杏「………どこの誰だ。」
つむぎは杏寿郎の唸るように低い声を初めて聞いた。