第5章 ※逆鱗
———
男「下ろしますね。」
「はい。」
処置室に入ると、つむぎはようやく男の腕の中からベッドへと下ろされた。
「あの、ありがとうございました…。失礼なこと言ったのに…。」
そう言われた男は少し首を傾げた後にこりと笑った。
男「いえ!あの一撃をまともに食らっていたら俺、絶対に死んでたので!つむぎさんは命の恩人です!!」
「…………………………。」
つむぎははたとある事に気が付いて男の顔をまじまじと見つめた。
「………何で私の名前…知ってるの…?」
男「そりゃ、」
し「お話し中すみませんが、用意が出来たので外に出てもらえますか?」
その言葉に男は眉尻を下げながら戸へと向かう。
そしてこう言った。
男「俺は五十嵐かざみさんの弟子です!何度もつむぎさんの近くで稽古を受けていました!!」
「え…、」
男は告げるだけ告げると、頭を下げてから戸を閉めた。