第1章 始まり
杏「察するに五十嵐は呼吸を継いできた家の者だろう!君は家の呼吸が合わないと感じているのか!」
問われたつむぎは少しだけ視線を逸らしたが、すぐに吹っ切れたような明るい笑みを返した。
「お察しの通り、五十嵐家は江戸時代から風の呼吸を継いできた一族だよ。でも風の呼吸は使ってない。そもそも父に『風の使い手を名乗ることは許さない』って言われちゃってる。」
それを聞いた杏寿郎と律と知世子は目を見開いた。
認められていないつむぎがきちんと最終選別を突破しているからだ。
つむぎは皆の様子を見て少し困った様に笑った。
「ほら、私あまり体格に恵まれてないし、父はそもそも隊士になって欲しくなかったみたい。心配だから。」
そう言うと杏寿郎は目を見開いたまま口を薄く開けて固まってしまった。
「…………?」
律「じゃあ他の呼吸を使ってるの?何の呼吸?」
つむぎはそう問われると杏寿郎から律に視線を移した。