第4章 告げる
杏(だが、リボンの男が一足早かったら、この姿をその男に晒していたのかもしれない。)
そう思うとグッと眉を寄せる。
そして薄く開いていたつむぎの口にぬるりと舌を入れた。
「んッ!?んゔ…っ」
驚いたつむぎは再び杏寿郎の胸を押した。
先程よりは力強かったが、それでも男の体を動かすには不十分だった。
(は…ずかしい……。)
つむぎは杏寿郎の事を好ましく思っていたが、仲間、あるいは "手に入らない人" として見ていた。
杏寿郎は名家の跡取り息子であったし、自身を妹として見ていると思っていたからだ。
つまり、見ていなかっただけで、男として "見れない" 訳ではない。
以前評した通り、性格も良く、隊士としても力があり、顔立ちも好ましいと思っているのだ。
(ずるい…こんな強引にしてるのに…、)
そう思いながらも抵抗する手から力が抜ける。
杏寿郎は息継ぎをするように少し口を離した。