第1章 序章
予定時刻より一時間遅れて、車に乗り込み、震えて上がってる伊地知が面白い……相当怒られたんだろーねぇ〜?ジジィ達は暇な癖に待つのが嫌いだからね……ホント、自分勝手な奴らだよ……。
「あ、あの、五条さん……今日はこの後、一件、静岡方面に特級案件が入ってます……呪詛師が絡んだ一級呪霊が出ています……」
「ぇえ〜、それ、七海でも良いんじゃないのぉー?僕、休みなくて疲れてるんだけど?今から更に疲れるんだけど?」
「一級呪術師は今日は皆さん出払ってます……ちなみに七海さんは、昨日、五条さんが押し付けた沖縄案件に向かわれてます……」
「ちぇ、それ、遠回しに僕が楽してるって言ってる?」
「えっ……い、いや……」
「はぁ……仕方ない……じゃ、とりあえず、ちゃっちゃとジジィ達の相手しますかね……」
伊地知といつも通りのやり取りを終え、腐った呪術界の巣窟であるジジィ達の前に立ち、僕には取るに足らない話のやり取りを交わし、苛立ちがMaxになっていた……コイツらぶち殺して黙らせてやりたいな……。
「お話は以上ですか?現時点では全てに進展なし、現状維持と言うとこです……では、私は……」
「待て、五条悟……」
「……まだ…なにか……?」
「三ヶ月程前、非登録呪術師 “ チヨ ” が死んだのは通達が行っているな?」
「……ええ、確か、一級呪霊にやられたんですよね?それが何か?」
ここに来て、チヨバァの話か……お前らはチヨバァの事、目の敵にしてただろう……高専に所属しない、呪術師と謳っているけど何処の団体にも所属しないで、呪詛師としても疑ってたよな?でも、どうして今更……?
「…… チヨが対峙した呪霊……それが、特級呪霊へと跳ね上がった事が分かった……たが、その特級呪霊は既に祓われておる……チヨの死後に……」
「………」
「そして、ある目撃情報が入った……
〔山が、青い炎が一瞬にして燃え広がって消えた……〕とな……」
「分かりました……調査します……では……」
僕らしくない、めちゃくちゃ焦ってる……さっさと、特級案件片付けて、手がかりを探す……伊地知に急がせて今日の仕事を終わらせての育った郊外の人里へと向かった……。