第5章 憔悴
眠りについた悟をソファに寝かせ付け、風邪を引かない様に毛布を掛けた……静かに綺麗な顔で眠る悟に涙が止まらない……ずっと大好きだった……再開してから付き合う様になって、本当に毎日が幸せだった……最期にキスをしようと顔を近づけたけど、触れる直前で止めた……。
「……私には……こんな事する資格は無いね……悟、どうか幸せになって……私を忘れて……」
「………」
悟を騙して、お酒まで飲ませて眠らせて、こんな仕打ちをした私が都合よくサヨナラのキスなんて出来るわけない……固く唇を結び、眠る悟の幸せを願いながら立ち上がり、月の輝くテラスへ足を運び、シヴァを召喚した……。
「シヴァ、待たせてごめんね……」
『……終わったのか、?』
「うん……行こう……シヴァ……」
『………ああ……』
シヴァは後方で寝ている悟に一瞬眼をやり、私の涙で濡れる頬へ顔をすり寄せて心配してくれる……悟とのお別れもした……もう何も未練は無い……シヴァをゆっくり抱き締め、シヴァの炎を身に纏うとゆっくりとテラスから飛び立った……これで、本当に悟とはさよなら……。
「……着いたね……」
『……ああ、懐かしいな……』
「……ここはシヴァが生まれて、還る所だもんね……ごめんね、シヴァ……巻き込んで……」
『オレの意思はいつもと一緒だ……だから、気にするな……っても、次はの魂でオレは生まれ変わるだけだ……それはずっとといるという事だ……』
「……それでも何年後か何十年後かになるかは分からないから……私の弱い思いが基準だから……」
『お前は強くて綺麗だよ……今までの先代たちの中で誰よりも……』
「ありがとう……“逝こう”…シヴァ……」
『礼を言うのはオレの方だ……ありがとう、…』
沖縄の最北端、辺戸岬へ降り立つと聖地で力が弱まった手のひらサイズのシヴァと話をし、ゆっくりと抱き締めた……聖地の海へ還る……それは海へ身を捧げ、シヴァはその水で消滅し、私の命……残る魂で次に新しく生まれ変わる………“還ろう”……穢れた私を唯一、浄化出来る方法だから……。