第5章 憔悴
、お前がここに来た本当の理由は分かってるよ……五条家にあった文献の中でも家に関する記述は皆無に等しかった……不死鳥を司る一族、伝承方法や脈絡は不明……何の情報も得られない、お手上げ状態だった……偶然手に取った、ある先代の日記を読むまではね……。
「……あったかい甘いドリンク作るね?」
「やった!!僕、お手製のココアが良い!!たぁーっぷり、甘めのやつ!!」
「分かったよー!にしても凄いよね……プライベートキッチン付きって……じゃ、ちょっと待っててねー」
ドリンクを作りに立ち上がるの背を目で追いかけて、ふと見せた哀しげな笑みに、胸が締め付けられる……傑に犯されて、僕の横には居られないとか考えての行動でしょ?そんな事無いって安心させたい……今すぐにでも抱きしめて伝えたい……。
「……が怖がることを無理矢理したくはないからね……」
今回の事で傷付いたのはだ……心も身体……そんなの傷を抉るような事はしたくない……だから思うようにさせてるんだけど、ある意味、僕にもリスキーな部分があるのは確かなんだよね……。
「悟〜、お待たせ〜!!」
「うわぁ〜、ありがとう〜!!って、はお酒?」
「うん……ちょっと久しぶりに……ホットウイスキー……あ、匂い嫌かな?」
「ううん、全〜然〜!僕、お酒はダメだけど、匂いとかで酔う事はな〜いよ!!じゃ、乾杯しようか!!」
「うん!!乾杯〜!!!」
自乾杯すると悟はそのままココアを口にした……私もウイスキーを一口飲んで、グラスを机に置いた……。
「うん!美味しい〜ね!!でも、いつもと少しだけ違って……大…人……な……ッ……あ…れ……?」
「……悟……ありがとう……私の我儘聞いてくれて……ごめんね……悟……大好き…………悟……今まで、ありがとう……この数ヶ月、私は幸せだった……悟も幸せになって……」
悟のココアにほんの一滴、ウイスキーを入れた……いつも通り、飲み干してくれて、お酒がダメな悟はすぐに顔が紅くなり眠そうに目が閉じ始めた……そんな彼の姿に我慢していた涙が一気に込み上げて来て、頬に手を当てながら口を開き感謝を告げると悟は静かに眠りに着いた……。