第1章 序章
あー……頭痛い……ついつい、昨日、飲み過ぎた……あの日の事を思い出すと現実逃避したくなる……あの日……あのまま、彼に殺されてたら良かった……そしたら、死ぬ間際…あいつに気持ちを伝えられていたかな……あ、呪っちゃうね?
「……ぁああーッ!!とりあえず、今日も仕事…行こうっ!!」
センチな気持ちを振り切る様にベッドから飛び起き、いつも通り、猫を被っての一日が始まるのを疑わず、部屋を出て職場へと足を進めた……。
そして、職場のビルへ足を踏み入れた瞬間に感じた違和感に眉を潜めるも大したことはないと鷹を括り、判断を見誤ったと後ほど後悔する事になった……。
〔アキちゃん、昨日、堀部さんと行ったのかな……?〕
〔いい感じだったし、行ってるんじゃない?肝試し!!私は帰ったけど……何人か行ってたみたいよ?〕
なるほど……通りで雑魚どもがいつもより多いって事ね……こんな時期に行くなんて良くないよー?近いうちに高専関係者が祓いに来そうだね……来週、休暇貰う方がいいかもねー?
〔あっ!アキちゃ……ん……?〕
〔……ッ……ッ……〕
〔ア、アキちゃん……だ、大丈……夫……?〕
ん……?様子がおかしいな………あ……当たられてる?……にしてはちょっと違う感じが……どこに行ったか聞いて、元を祓いに行った方がいいかな………いや、直ぐに窓が異変に気付くか……あの子だけじゃ、なさそうだしね……。
〔あっ!堀部さんよ!様子見に来たのかしら?え?もしかして、付き合い出したの?〕
〔ごめんね、アキちゃん、昨日、肝試しの後、調子悪くなっちゃって……今日も無理しない方が良いって言ったんだけど……〕
あの男……あいつは大丈夫だったんだ……何処に行ったんだろう……この時期だから、貰いやすい奴は行くなよ……でも、ま、あの子も放置してたら危ないね……。
『ゥギァウウ……がぁっ!!』
「アキさん、昨日の書類、お返ししておきますね?それに大丈夫ですか?顔色悪いので、今日はお休みされた方が良いですよ?」
「……あ、ありがと、、、」
アキさんに巻き付く呪霊に手かざし、青い炎で払い退けると正気に戻った様で堀部に抱えられて部屋を後にし、堀部に感じた違和感に気付かないフリをしてその日の業務を進めた。