第3章 選択
硝子の言葉に堪えてきた涙が溢れ出し、硝子は黙って私を抱き締めてくれた……悟が好き……それは今も昔も変わらない想い……硝子はいつも私の事を助けてくれる……強がるなって……。
「ッさ、とるが……好き……硝子も傑も……だから……傑を助けたい……」
「?……夏油の行方はこの七年分かってないよ……あの馬鹿、どこで何してんだか……素直になれない原因は夏油か……」
「………」
「……私らもいい大人だ……その辺は割り切っても・・・」
「……ダメなの……絶対に……ダメなの……」
はまだ何かを隠してるな……昔からそうだったが、何か、未来を見てるような、心ここに在らず的な発言をする事が多々あった……初めてが“生”の術式を見せた時も珍しく夏油と言い合いしてたからな……五条が間に止めに入った瞬間、が倒れ込んだから、2人ともかなり動揺してたしな……。
「……ごめん、硝子……もう、大丈夫……」
「……そうか、コーヒーでも・・・ッ!?」
「 、上層部がお呼びです。至急我々と一緒に同行願います……」
「……彼女はまだ治療中だ……連れ出す事は・・・」
「この方は秘匿死刑囚です、治療も全快にする必要はありません。逆らうのであれば、家入さん、あなたも処罰の対象となりますよ?」
「ッ……てめぇら……」
「硝子、ありがとう、大丈夫……下手に五条に連絡しないで……大丈夫だから……」
きっと私はずっと監視されてるんだろう……起きた事で微量の呪力が動いたからこうして上層部のコマ達が拘束しに来た……拘束具まで付けて、ただの同行じゃないだろ……悟が居ない今を狙うのも用意がいい事で……あの不気味な部屋に入るのは七年ぶりか……普段は私の様な者が入ることのない閉ざされた空間……真っ暗な部屋に入り、男達が案内する場所に立つと、不気味な光が浮かび上がり、上層部のジジィたちが現れた……。