第3章 選択
前世の記憶のカケラ……どうして持って来ちゃったのかな……それは全て完璧じゃなくて、部分的……悲しい別れを避けたくて、高専の頃の仲間を護りたくてもがいてみたけど……傑を止められなかった……だから、次こそ……彼が苦しまないように……悲しまないように……。
「……………こ……こは……?」
「起きたか、……丸二日寝てたぞ?気分はどうだ?」
「……硝……子……?」
「……本当に戻ったんだな……わざわざ使用したのは何でだ?真希なら応急処置の後、五条が私の所に連れてきただろうに……何か心境の変化か?」
「……ただ、直哉に腹が立ってただけ……さ……五条が連れて行くにしても京都には行きたく無いだろうしね……それだけ……」
目が覚めて硝子のところにいてホッとした……私、行けた記憶が無かったから……ちゃんと、悟の前はスルー出来た?あれ、ホントに?私……もしかして……。
「……やっぱり、覚えてなさそうだな?隠しても仕方がないから教えるが、お前、真希と棘の治療して、その後、五条の前で倒れた……女子会切り上げてこっちに戻ってから、五条が朝任務に出る前にここに連れて来て、戻ると自宅に連れ帰っての繰り返し……上から捕らえらえるの回避してたわけ……」
「………やっぱり、ダメだったのね……」
「ある意味、約束は護ったから良かったんじゃないか?『五条もしくは夏油のいる前以外では生に関する術式は使わない』ってな……」
「……そんな約束……もう無効でしょ……さ……五条がいても居なくても……あの時は……」
「なぁ、……お前、五条の事、今でも好きなんだよな?」
「ッ!??」
「……いいんじゃないか?“悟”って呼びたいの、我慢してるだろ?」
「ちが・・・ッ!?」
「、私の前では強がるな……私達は親友だろ?」
「……硝・・・子・・・ごめ・・・ごめん・・・ッ!!」
高専時代の約束……一級〜特級案件を悟・傑・硝子の4人で行った。その村の半数が呪いにやられて硝子が治療する間に悟と傑で難なく呪霊は祓われた……その呪霊の近くに居た人が瀕死の状態で、私は初めて“生”の術式を使い、倒れた……その後、悟と傑に滅茶苦茶怒られて、2人のいない時には使わないと約束した。