第3章 選択
出張先へ移動中の車内での呪力を感知した……高専内で呪力を使おうとしてるなんてただ事じゃ無いって、直ぐに戻って正解だった……直哉が来てる……東京に出張に出てることは知ってたけど、高専に来るとはね……僕が居ない間に来るって事は、おじーちゃんの策略だろうね?ホント、やってくれるよ……。
「で、、怪我はないの?」
「私は大丈夫……重症なのはあの二人……硝子はいつ帰って来るの?」
「んー、今日は京都校に行って、その後予定あるって言ってたからねぇ〜?早くて夜遅くか、明日の朝だろうね?真希、大丈〜夫?」
「ゴホッ…ゴホッ……ハァ…ハァ……あ…あ……ッゴホッ!!」
「ッ!?」
「んー、大丈夫じゃなさそうだね?棘は?」
「お゛ががッ!!」
「ん、いつも通りだね!」
硝子やっぱり遅いんだ……京都出張はある意味オフだし、どうせ歌姫先輩と飲みに行くんだろうなぁー……いいなぁー……って言ってる場合じゃないか……棘は大丈夫にしても、真希は重症だね……。
「………はぁ……ごめんね、二人とも……巻き込んじゃった……」
「ッ!…ち……げぇ……ゴホッ……よ……あん……たが……ゴホッゴホッゴホッ!!」
「あー、喋らないで!多分、肋骨いってるから……」
ホントは使いたく無いけど。高専内だし、医務室までは持つか………硝子が帰って来るまで待つのは厳しいかな……。
「、真希は僕が医務室まで運んで……ッ!?」
「多分、肋骨が折れて、肺に傷付けてると思う……このままじゃ、硝子が帰るまでかなり大変……ねぇ、2人とも、今の事は他言無用……記憶から抹消して……それから五条、終わったら二人を今日は帰らせて、療養させて!」
「………分かったよ……ところで、……さっき、僕のこと、“悟”って呼びかけたよね?昔みたいに……」
「……さぁ?知らない……棘、おいで?」
「ッ!?お゛……おか…か……」
重症の真希に手を添えると青い炎が全身を包み込み、暫くして呼吸が正常化したのを確認するとそのまま立ち上がり、近付いて来た棘の喉に手を当て、同様に青い炎が声帯を包み込んだ……そして、悟の問いに気付かれたと思いながらも、そのまま横を通り過ぎ医務室へと足を進めた……。