第3章 選択
呪力での攻撃を呪力で強化せずに受けるのは効くわぁ……情けないけどすぐに動けない……死ぬのは別に構わない……だけど、それは今じゃないの……私に呪力が無いって思ってるみたいだけど、本当にただのボンボンのバカなのね、アンタ……。
「これが最後のチャンスやで、ちゃん!!」
「……アンタ、殺したら、呪詛師確定かしらね?」
「ッ!!?」
「………呪詛師なんかになられたら、僕、困るんだけど?忘れ物取りに帰って来たら、面白い事になってるね?」
「さと・・・なんで……」
今は死ねない……再び現れる直哉を睨み付け、呪力で攻撃を受けようとした瞬間、視界が黒で遮られ、いるはずの無い悟の声に驚きを隠せず、目を見開き、そのまま直哉の攻撃は悟の無限に遮られた・・・。
「ッ!!!?さ・・・悟くん・・ッ!?」
「直哉、お前、僕の可愛い生徒に何したの?それに……お前が高専に来るの、僕、聞いてないけど?」
「ちゃ、ちゃうねん、ちゃうねん!!仕事まで時間あるし、楽厳寺学長の付き添いできただけやねん!」
「あっそ・・・あー、もしもしぃ〜?僕だけど、悟〜!お宅の息子さん、僕との約束破って東京高に来るわ、僕の可愛い生徒に手ぇ出すわ、挙句の果てに、 の刑も勝手に下そうとするわで、救い様無いんだけど・・・殺して良いよね?」
「ッ!!?」
『悟!!すまんっ!!あのバカの始末は禅院家でワシが行うっ!!直哉ッ!!さっさと帰って来いッ!!!この馬鹿がっ!!勝手な行動するなとあれほど言っただろっ!!!!』
「わ、分かったわっ!!ちゃん、堪忍な!!じゃ、悟くん、またね!!」
「・・・流石、五条家の御当主様……で、五条、何してんの?」
「………ん?忘れ物取りに来たの!」
さっき、“悟”って呼びそうになった……気付いてないよね?忘れ物ねぇ……私、知らない間に、何か監視でも付けられてるのかしら?呪力練ると感知的な?でも、助かった……下手したら直哉を殺してたかも知れないからね……。
逃げる様に帰って行った直哉を横目に深く息を吐き、そっと肩を撫で下ろした……。