第1章 序章
さっさと押し付けられた、仕事を終わらせて、自宅へと足を進める……街は12月の初めの金曜日……クリスマスのイルミネーションが飾られた街を足速に通り過ぎていく……。
「(こう言う賑やかな場所の裏には集まって来るんだよね……まぁ、これくらいなら大丈ーーーッ!?)」
「アレ??さん?」
「……お疲れ様です、堀部さん……では、用事がありますので失礼します……」
「えっ!ちょ、少し話だけでもっ!?」
「堀部さぁ〜ん!さんより早く行きましょーよ!彼女、用事があるって言ってるんだしぃ〜!さん、お疲れ様でーす!!」
「はい、楽しんで来てくださいね!………ハァ……うっざッ!!さっさと行けよ……猫被るのも楽じゃ無いな……」
颯爽と人波を避けながら歩く中、突然腕を掴まれて、驚いた……って、誰だっけ……あぁ、キャーキャー騒がれてる営業の……めんどくさ……狙いの彼女が直ぐに飛んで来たよー……睨まれても知らないよ……男前……なのか……?コイツ……ははっ……ある意味、目が肥えすぎてるのかもねー。
さぁ、うるさいのもあっちに行ったし、早く帰ろ……帰って冷えたビール♡仕事後の楽しみだからね〜!焼き鳥でも買って帰ろ〜っと!
『ギャウァっ!!』
向かって来た小さな呪霊を手で払い除けると小さなうめき声と一緒に青い炎に包まれて何事もなかった様に歩き始め、おばぁが生前に購入してた、マンションへと姿を消した。
おばぁは一級呪術師……だけど、高専には関わらず、冥さんと同じ様に単独で依頼を受付けていたから、あんな、クソ田舎のボロ屋で過ごさなくても良かったのに、私の為に一緒に居てくれた……まぁ、このマンションのお陰で私が今、働きに行けてるんだけどね……。
「……私は……もう、呪術師には戻らない……来るべき日の為に……今度こそ……アナタを助けたい………傑………アナタを……」
ビールを片手に窓から見える都会の煌びやかな夜景を眺めながら、守れなかった仲間を思い返しながら、頬に流れる一筋の涙も気にもせず、眩し過ぎる地上の星たちをただ呆然と見つめていた……もう、戻らないあの日を思い出しながら……。