第3章 選択
ムカつくけど、何が目的で来たか聞くしかないか……どーせ、くだらない理由だとは思うけど……コイツ、悟が居ないのを知って来たな……?
「僕を払い退けるなんて、相変わらず、強いね〜……そんな、怖い顔せんといてーやー!ちゃん、元は可愛いねんから!僕が来たんはちゃんのためなんやでぇ?」
「はぁ?」
「ちゃん、呪術師にも呪詛師にもなる気ないんやろ?それやったら上から狙われてしまうやん?それでな、良い事考えたんや!ちゃん、僕の妾にしてあげるわぁ!!呪力が無くても、その血があるから将来有望やし、僕の妾になれば、上からは狙われへんく出来るし!すごく良い案やろ!!善は急げで、ほな、行こか!」
「……呆れて言葉が出ないってまさにこの事ね……話にならない……帰れ……次はちゃんと申請して来るんだね?」
「高専関係者でもないちゃんに命令される事はないわ……むしろ、御三家の跡取り候補に対して反抗した方が不味いんちゃう?このまま、力づくで連れてってもええねんで?」
「あっそ?じゃ、やってみたら?“力づく”でって、お前、私より強くなったのか?忘れたわけじゃないよね?私は硝子と違って前線だよ?稽古を誰としたと思ってんの?呪力が使えなくても、お前如きに負ける気はしないんだよ!」
アホだとは思ってたけど、本当だね……私の挑発に直哉が乗って来た……直哉がどこまで成長したかは分かんないけど、直毘人さんと術式は同じ……呪力使うと更にめんどくさいから体術と呪具だけで……。
「クッソッ……ちゃん、居らんくなってから時間経ってんねん!!」
「でも、特級相手は無いでしょ?交流会でも東京には勝てなかったんだから!ま、悟・傑・私の特級三人が相手じゃ当たり前だけど……その中でも私はあの二人に鍛えられたからな!!ククッ……私が、本当の落ちこぼれなんだよっ!!呪力が無いだけで呪術師になれないと思うなっ!!」
あー、らしく無い……呪術界離れてからは誰がどうとか考えない事にしてたのに……禅院家のクソみたいなやり取り見てたら頭に血が上り過ぎた……あの頃、抱えていた自分の無力さが思い出される……でもこんな奴に若い目をつませたくない……やるか……。