第3章 選択
高専に連れ戻されて早三ヶ月が過ぎた……私は相変わらず、何もする事なく、たまに硝子と飲みに行くという、楽しくもくだらない日々をただ呆然と過ごしていた……。
「たまにはお散歩しようかな……」
悟は今日から出張で三日間、漸く自由……まぁ、一ヶ月が過ぎた位から高専内は自由に動いて良いと許可が出た……高専の中なんて殆ど行かないからもっぱら、悟の家で過ごす事が多かったけど…。
久しぶりに学舎へ足を運び、かつて過ごした教室に入った……ここでよくバカ二人が喧嘩してたっけ……私と硝子は巻き込まれない様に良く逃げ出してサボってたな……。
「ッ!?」
「アンタ、誰だ?」
「シャケ!」
「あぁ、ごめんなさい、懐かしくてつい……」
「懐かしいって高専の関係者か?」
「んー、元?」
悟から聞いたな……確か、メガネの女の子が呪力の全く無い禅院家の女の子……おにぎりの具材の子は確か、狗巻くんだったかな?ま、警戒するよね……。
「アレ?じゃん、どーした?こんな所で珍しい。悟は今日、居ないぞ?」
「パンダ、知ってるのか?この人?」
「ん?ああ、そうか!真希と棘は知らないよな?は、悟と硝子の同期、ちなみに等級は……“元“で良いのか?」
「うん、私、呪術師辞めてるし、むしろ、今、秘匿死刑の執行猶予中だしね?」
「そうだったな!元・特級……」
「おかか・・・」
「ウソだろ……」
「あー……悪魔でも“元”だから……ごめんね、邪魔したねー」
「……待てよ、悟も居ねーんだ!今日は自習で今から体術の自主練……さん、付き合ってよ?“元”特級って事は、悟とも互角なんだろ?……ッ!!?」
「………口の聞き方、気を付けろよ?禅院 真希……五条と一緒にするな……私の“特級”なんて、名ばかりなの……分かったらさっさと自主練しておいで〜、自主練見てあげるほど暇じゃないの!」
二人に続きパンダも入ってきて、夜蛾先生…あ、今は学長か……学長の呪骸であるパンダとは昔からの付き合い……私の事を紹介してくれるから助かった……けど、真希の言葉に大人げなかったなぁ……私は“特級”である事を恥じてたから……規格外の二人の前では足元にも及ばないから……。