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⭐︎夢のつづき⭐︎

第2章 高専


消毒液の独特な匂いが鼻腔に広がる……ゆっくりと目を開けると真っ白な天井が目に入った……何度か見た事のある景色……夢じゃ無かったんだ……私、戻って来たんだね………。



「………夢なら……良かったのに……」


「現実逃避か?気分はどうだ、?」


「……しょ……硝…子……?硝子……ゥエ……硝子〜〜」


「おいおい、落ち着け、変わらないな、……ったく、何も言わずに居なくなって、心配させやがって……身体どう?痛むか?」


「ごめん……それにありがとう……もう…大丈夫……グズッ!」




私の大切な親友……あの日、硝子に御礼だけ言って、高専を出た……七年振りに逢う親友を見た瞬間、今までの緊張が解けた……泣きじゃくる私をあやすように、今までの事を聞くこともなく、私が落ち着くのを見守っていてくれた……。




「ずずっ……美味しい……ありがとう、硝子……」


「落ち着いたか?……にしても災難だな?五条の監視下だって?」


「……うん……本当は上層部は私を生かしておくつもりは無かったんじゃないかな?問答無用の秘匿死刑!素性の知らない私は危険すぎるからね?悟が、同期のよしみで言及してくれたんでしょ……そこだけは感謝してる……」


「……で、これからどうするんだ?」


「……私が出来ることなんて何も無いの……正直、私、七年前から世の中の動き、止まってるから……先ずは、情報収集かな……」


「……?七年前から?」


「………ずっと……夢の中にいた……あの日の対価……それが、七年の……“時間”……私が“死んでた”時間……」




私はあの日……硝子の治療を受けた後も回復の兆しが見えなかった……その時……幼い頃に禁忌とされた術を思い出した……オバァに助けを求める様に高専から姿を消して、オバァの元に急いだ……遅かった………オバァは……私を見た瞬間、強く抱きしめてくれて……そのまま私は夢の中へと身を投げた………。


硝子は問いただす事なく話を聞いてくれて……あの日………大切な人たちを裏切って……私は呪術界を逃げ出した…………そんな私は……みんなの前に立つ資格がない……こんな、ただの役立たず……。
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