第1章 始まり
「わっ―――!」
反射的に身をよじって男性の攻撃から逃れる。
しかし男性は攻撃の手を緩めようとはしなかった。
私は必死に避ける。
飛んで、しゃがんで、転がって、必死に…本当に必死に、攻撃から逃れた。
・・・というか、誰、この人。
何でいきなり攻撃してくるの?
腕試しって、何・・・?
「っ!」
あと数秒、しゃがむのが遅かったら顔の上半分が無くなっていたであろう攻撃を避けると、私は男性の懐に潜り込んだ。
一瞬の隙をついてロッドを振るが・・・剣で止められた。
「甘い」
男性が嬉しそうな表情で言う。
その瞬間、剣にロッドを奪われた。
「あっ・・・!」
剣は絶妙な動きでロッドを絡め取り、武器は私の手を離れて、音を立てながら遠くの方に転がっていく。
慌てて取りに行こうと駆け出すが、その直後、顔面に剣先を突きつけられた。
私は仕方なく動きを止める。
「ある程度戦えるみたいだが、やっぱ、まだまだだな」
男性は嬉しそうに笑いながら言うが、なぜ見ず知らずの人にそんな評価をされなきゃいけないのか。
私は思いきり不満そうな表情で、男性を上目遣いに睨んだ。
「一体、何なの? あなた、誰?」
「ああ、悪ぃ悪ぃ」
男性は声を上げて笑った。
「俺、エアリスの知り合い」
「エアリスの・・・?」
「ああ。エアリスからあんたのことを聞いて、腕試ししてやろうと思って来たんだ」
私は怪訝な表情を浮かべながら男性を見つめる。
しかし男性は、どこか安心感を与える表情で、得意げに微笑んでいた。
「あんた、ミキだろ?」
「・・・あなたは―――?」
「俺? 俺の名前は―――」