第2章 ふたりのソルジャー
「もう5年も何の連絡もないもんね。どっかで女の子と仲良くしてるんじゃないの?」
突然、ミキがそう言ってきた。
彼女は滑り台の側にあるブランコに腰掛けている。
・・・なんとなく口調がとげとげしかったような気がしたが、ここからでは顔が見えないので、どんな表情をしているのかは分からない。
「そう・・・だよね。女の子が大好きなやつだったもんね」
そう言うエアリスの表情も、先程と比べて少し暗い。
・・・ミッドガルに派遣されたことのある、クラスファーストのソルジャーか。
記憶をたどってみたが、誰も思い浮かばなかった。
「あ・・・」
エアリスが小さな声を上げた。
彼女の視線の先に目を向ける。
・・・七番ゲートの扉が、ゆっくりと開いていた。
「ここ、滅多に開かないのに」
ミキも意外そうな顔をしている。
扉が完全に開くと、そこからチョコボ車が出てきた。
後ろに繋げられた車に何気なく目をやると―――そこには、見覚えのある人物が乗っていた。
・・・見覚えがある?
いや、間違いない。
あれは――――。
「ティファ!?」
ティファが一人でチョコボ車に乗って、どこかへ行こうとしている。
一体どこへ・・・?
「ティファさんって、さっき話してた?」
「ああ・・・」
エアリスの問に、頷く。
チョコボ車はそのまま、どこかへ走り去ってしまった。
「ふ~ん。何だか、ただならぬ雰囲気って感じだったね」
エアリスはそう呟くと、滑り台を滑って下りる。
「お、おい・・・!」
どこへ行く、と聞く前に、彼女はチョコボ車が走り去った方向へ駆け出した。
「待って、エアリス!」
エアリスの後を追って、ミキも慌てて駆けだす。
・・・もう止めても無駄だろう。
思わずため息を吐くと、2人の後を追って駆け出した。