第1章 始まり
「エアリス!」
見慣れたピンクのワンピースの女性を見つけ、彼女の方へ走り寄った。
まだ本調子ではないようで、少し走っただけで息が切れてしまう。
「ミキ、どうしたの? まだ体が・・・」
エアリスの前で止まると、膝に手を当てて息を整える。
顔を上げると、彼女は心配そうな表情でこちらを見つめていた。
どうやら無事だったようだ。
よかった――――。
「壱番魔晄炉がアバランチに爆破されたの。心配で迎えに来たんだけど・・・大丈夫? 怪我はない?」
「わたしは平気。 ・・・さっき聞こえた音、魔晄炉が爆発する音だったんだね」
エアリスにつられて、私も魔晄炉に目をやる。
黒い煙が何本か空に向かって伸びていた。
ここからでは炎は見えないが、かなり激しく炎上しているのだろう。
「・・・声が、たくさん消えた」
「え?」
エアリスの呟きが聞こえ、私は彼女の横顔を見る。
彼女は、ジッと魔晄炉を見つめていた。
声が消えた。
・・・人が死んだということだろうか。
「帰ろ、ミキ」
そう言いながら微笑む彼女の顔は、少し寂しげに見えた。