第4章 きもち
「やめてくれぇ!!」
「っはっ、 はぁ…はぁ…」
やっと解放されたのは男が叫んだ時。
雪は呼吸をするので精一杯だった
「これでわかったか?」
「っくそぉ…!」
あんなキスをした後だと言うのに何故か余裕そうな五条を男、そして雪が睨む。
男はどうせ取られるならと突進してきたが五条に簡単に抑えられてしまった
「諦めるんだな。お前に雪は相応しくない」
そしてがんを飛ばしそう言う
男は悔しそうな顔をして逃げていった
雪の言いつけ通り、下手に手を挙げずにできる限り穏便に済ませた五条。
満足気に腰に手をやり雪の方を見やった
「これで暫くは大丈夫だろ…。な、雪」
「はぁ…嘘でしょあんた…」
まだ息が弾んでいる雪が信じられないという目で五条を見る
あんな、引っ付いただけで赤面するようなやつが、こんなキスがうまいわけない
「誰だよ君」
「今は雪の彼氏だけど? あー、でももう後輩か。」
男がいなくなった今、彼氏である必要は無い
五条はどこか残念そうに呟いた
だが、すぐににやけ面に戻って雪にグイッと近づく
さっきのこともあり、雪は警戒したような顔をする
「先輩って結構敏感?可愛かったよ♡」
語尾にハートが着くような甘ったるい声で言われて雪はさらに赤面した
そして近づいてきた顔を押して叫ぶ
「う、うるさい!!もー、怒ったからね。なんか奢ってよ!」
「はは、それで許してくれるんだ?ちょっろ」
「だまって!」
五条はそんな先輩をみて笑う
今日は先輩に振り回されっぱなしだった五条
今は完全に形勢逆転である