第3章 不思議な人
目の前で特級呪霊が動いてんのに先輩は呑気にそう言う
「危機感ねぇなっ」
俺は少し焦りつつも術式を展開していく
グンっと呪霊の体が動き木々に当たりながら俺のところまでやってくる
先輩は「うおっ」と変な声をあげて呪霊を避けた
目の前にやってきた呪霊に向かって指を構える
術式反転
「赫」
「…………え?」
「ま、無理ですけど」
ドンッッ
呪霊が地面に叩きつけられ小さいクレーターができる。そしてそこに向かって足を振り下ろした
呪霊は気持ちわりぃ叫び声を上げて動かなくなる
「うわ、瞬殺」
先輩が引いたように呪霊だったものを見た
「いこーぜ。傑と硝子が待ってる」
俺は顎で傑のいた方をさしながら先輩に呼びかけた
先輩は苦笑いした後、飛んだ
そしてクレーターの上を飛んでいき俺の横に降りた
やっぱり今の先輩には呪力がある。そこら辺の呪術師よりも多くの呪力が
それに今の
「呪力を土台にした?」
「さすが。褒めてあげよう」
先輩はにししと笑い軽い拍手をする
「私の術式は呪力を細かく操るもんなの。」
「細かく?」
「そ。呪力を拳に乗せたり、ぶつけるってことは大抵の人はできるけど、私はそれを固くしたり自由に形を変えたりできるってわけ。透明の自由変化武器みたいなもんかな。だから他の術師より呪力が必要なんだけど、ありがたいことに私はかなりあるんだよね」
手を握ったり広げたりしながら先輩が説明する
「普段呪力が見えねぇのもコントロールしてるってこと?」
「正解。これは結構苦労したよー。呪力の量を自分の思い通りに操作できるの。気配も消せるしかなり便利」
「ちなみに今は半分くらいね」と自信ありげに言った
これで半分。確かに呪力はかなり多い
「ちなみに私からは呪力は見えるよ。君の六眼みたいな常時見える感じゃなくて、見ようと思えば見える感じ」
手で輪っかを作って目でその穴を覗き込む先輩と目が合う
なるほど。確かに面白い術式 。汎用性が高そうだ
「とりあえず今日わかったことは君が異常なほど強いってことだ」