第3章 不思議な人
「1級!?こいつが??」
俺は思わず声をあげた
正直3級くらいかと思ってた
「夜蛾先生、本当なんですか?」
「あぁ本当だ」
「いんや照れるなぁ」
真顔で聞く傑に真顔で答える夜蛾
その横で先輩は照れたように頬をかいていた
硝子も驚いた顔をしている
本当に未知数だこの先輩は
呪力がねぇのに術式が操れんのか?矛盾してる
夜蛾先は仕切り直すように咳払いをひとつした
「ま、そういうこでこれからお前らには指定の場所に向かって呪霊を払ってもらう。相手は特級。油断はするな」
「うっわ陰気な森」
俺たち4人は黒い車から降りて呪霊がいるとされる森の前まで来ていた
どんよりとした雰囲気のそれに先輩は思わず声を上げる
「それでは帳を下ろします」
一緒に車から降りた補助監督員が帷を下ろし始めた
俺たちは空が夜になっていくのを見ながら森の中へと足を進める
「ね、なんか2体いない?」
先輩が俺たちに聞く
俺と傑は同時にうなづいた
「いますね。別々のところに」
「めんどくせぇな」
右と左でその呪霊はちょうど別れている
右の方が気配が強い
「このメンツなら二手に別れた方が効率がいいんだけどね」
「今回の目的は互いの能力把握ですもんね」
これまた面倒くさそうに言う先輩に硝子が言う
俺は特級の称号をもう貰っている
先輩は1級 傑は準1級だ
と言っても傑は確実に1級以上の才能を持っている
ただ1級になるまでがまぁまぁの段階を踏むから時間が掛かるのだ
硝子は反転術式の使い手だから戦闘要員ではない
確かにこのメンツなら上手く分ければ二手に別れても対処できるだろう
先輩なら「バレないって」とでも言って二手に別れそうだが、やはり俺らの能力を把握しておきたいんだろう
とカラオケでの会話を思い出す