第3章 不思議な人
「さすがに部屋に戻らないと」
と俺の背中を思いっきり叩く先輩
正直クソいてぇし殺意わいた。いつが絶対殴る
そして最後に照れたように「ありがと」という
それが、なんだか初めて先輩が1人の女に見えて俺は困惑した
少しの間ボーとしていると先輩が不思議そうにこっちを向くその顔はまだ少し赤らんでていて
「顔あっか」
「うるさいなぁ」
それを指摘すると先輩は変な顔をして「慣れてないんだよ」と文句を言う
俺はその様子を見て思わず笑ってしまった
部屋に戻ると先輩の雰囲気はもういつも通りで、硝子からの辛辣なことばにしょんぼりしている先輩をみて「ざまぁ」と笑ってると
「何かあったのかい?」
と傑が耳打ちしてきた
首を傾げると「悟がすっきりした顔をしてるから」と言う
確かにそうかもしんねぇ
でもさっきのことを話すには少し惜しいな
なぜかそう思ってしまい俺はにひっと笑った
「俺と先輩のひみつ」
それに傑は少し驚いた顔をしたあと苦笑いしながらもこれ以上何か聞いてくることはなかった
そしてついに、また先輩のことを知る機会が訪れる
「今回は1年2年合同任務だ」
夜蛾先が後ろに先輩を引き連れ教室に入ってきたかと思うとそんなことを言った
「合同任務?わざわざ?」
俺と傑がいる時点でもう助っ人はいらない
そう思ったのは俺だけじゃなく、傑も首を傾げる
「お互いの能力の把握も必要だと思ってな安心しろ。今回の呪霊は弱くない」
「どの程度?」
「まだ確証はないが、現時点では特級と推測されている」
特級
その言葉に俺たちはそれぞれの反応をした
オレと傑は少し面白そうに
硝子は嫌そうに
先輩は元々知ってたのか余裕そうな表情は変わらない
「えぇ…私たち1年生なんですけど」
「2年生がいるだろ」
夜蛾先がチラッと先輩の方を見る
「そういえば…先輩の級って?」
「お前らそれすら聞いてなかったのか?」
「1級だよーん」
黙っててごめんねという動作はするもその表情と声は全く悪びれていなかった