第2章 親睦会
「そうだっけ」
「そう、俺らのこと把握したがってるつーか。俺生まれは普通じゃねぇけど先輩の態度が普通じゃないってことぐらいはわかる」
サングラスの奥にある綺麗な目が雪の目をじっと見つめる
つめられている本人もそのまま目を逸らせなくなっていた
まるで逃げ道がないとでも言われているような感覚だ
今まで雪が五条達を知りたがっていた分、今は問い詰められる側にいる
雪は逸らせないでいた目をやっと床に移した
「…あはは、そりゃ完全無意識だわ。焦ってたのかもね」
「焦る?」
雪は少し気まづそうにそう言った
五条がその言葉に首を傾げると雪は頷く
「うん。時間があまりないからね。京都姉妹校交流会まで」
「京都姉妹校交流会?あぁ、確か9月にやんだっけ。それが何か関係あんの?」
雪は少し言いづらそうな様子をみせるも今さら誤魔化せないかと五条の顔を見る
「私、勝ちたいんだよね。絶対。…負けたくない人がいるから」
「負けたくない人?京都の方にか」
「そう。私の兄なんだけどねはっきりいって嫌いなんだ。だから負けたくない。」
「そんで俺達のことを知りたいって?」
「団体戦に置いて味方の性格、行動パターンの把握って必須だからね。やっぱり焦ってたのかも。ごめん」
申し訳なさそうに視線を落とし、いつもよりも小さくなっている雪をみて五条は笑った
「なんか安心したわ」
「え?」
思わず顔を上げた雪の頭の上に五条のでかい手が乗る
「先輩にもそういう相手っているんだな。同級生が死んだーとか飄々としてたからそういう生きがいないんかと思ってたわ。ちゃんと人間で安心」
「何その言い方。先輩だぞ私」
ふくれっ面をする雪に五条は余裕そうな笑みを浮かべる
「まぁ先輩も安心しろよ。俺がいるんだから。負けるなんてありえねぇ」