第2章 初恋
紡side
『今日はありがとうね。』
ミキちゃんが僕に礼を言う。
空はすっかり茜色に染まっている。
「うん。……無事に成仏できそう?」
『うん。迷惑かけてごめんね。……しかもお母さんにも手紙書いてくれたんでしょ?』
ミキちゃんの家に言った時、なんとなくミキちゃんの気持ちをお母さんに伝えないといけない気がした。
『で?なんて書いたの?』
「気になるの?」
『うん。お母さん泣いてた。でも……寂しそうじゃなかったんだよね。嬉しそうだった。』
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大好きなお母さんへ
私を産んでくれてありがとう。
お母さんの娘で私は幸せでした。
部屋の戸締りはちゃんとしてね。
ずっと見守っています。
ミキより
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「文字書くのは苦手だけど、伝えたいことを短くまとめて書いたよ。」
僕が書いた手紙の内容を聞いて、ミキちゃんはクスッと笑った。
そして涙を流した。
『本当にありがとう。私も文字書くの苦手だから寧ろ良かったかも。』
少しずつミキちゃんの身体が消えていく。
最後にミキちゃんは笑顔を見せた。
『死にたくなかったな。』
そのまま成仏していった。
ミキちゃんは僕に初恋というものを教えてくれて天国へ旅立った。
それだけでなく色んな事を知れた気がする。
お礼を言うのは寧ろ僕の方だよ。
「こちらこそありがとう。ゆっくり休んでね。」