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【R18】消えた君

第1章 不思議な靄


紡side

「身長伸びた?葬式で見た時よりも大きくなった気がする。」

「あ、うん。2cm伸びたよ。びっくりだよね。」

「あの子も生きとったら同じくらい伸びとったんかな。」

仏壇に置かれた遺影を見る。
最近の写真が無かったのか幼い頃の写真のままだ。
その写真を見て何となく顔を思い出した。

「不思議よね……あの子最近の写真一枚も無かったとよ。学生証も消えとってね。残ってたのはあの写真やし。大きくなってからはあまり撮りたがらんでね。今更後悔しとる。」

「そうなんだ。」

学生証の写真も無くなってたのは何故だろう。
自分で消した?
でもそれなら理由は?
本当は自殺するつもりだった?
けど、結局は殺人ってことになってる。
だったら犯人が?
なんのために?
考えれば考えるほど分からない。

「あ、そうだ。あの子と一緒に撮った写真、見る?」

「うん、見る!」

幼い頃よく一緒に遊んでたのは覚えてる。
でも記憶も曖昧だし、写真見たら少しは思い出すかな?

「あったあった。はいこれ。多分あの子が4歳くらいかな。」

「わぁ懐かしい!僕も写ってる!」

「2人ずっと一緒におったからね。『僕がむぎを守るんや!』って張り切ってた。」

嬉しそうに話す叔母の言葉に僕は引っかかった。
「むぎ」?
その呼び方を僕は最近夢の中でされた。

「え、あの……僕って『むぎ』って呼ばれてたんですか?」

「え?うん、そうやけど……『つむぎ』の『むぎ』を取ってそう呼んでた。でも確かその頃はあの子に影響されて他の子もそう読んでた。多分それが本名やって勘違いしてたんやないかな?」

てことは僕の勘違い?
でも良く見たらこの子……僕の夢に出てきた子に似てる……気がする。
それだとしたら『久しぶり』って言葉も納得がいく。
もしかして僕に何か見つけて欲しい?
何を?
身体?
でも遺体は海で見つかったって……
体じゃないとしたら?

僕は何か重要な物を任された気がした。
きっと成仏出来ていないんだ。
彼を成仏させないと。
僕はアルバムを閉じ叔母さんにお礼を言って家に帰った。
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