第2章 性癖ヤバめな変態に狙われました
にこりと笑う、視線の先。
そうあたし今。
裸なの。
咄嗟にタオルを掴もうと伸ばした右手はあっさりと桜咲につかまり。
目下。
あたしの裸体がありありと晒された。
「…………見直したあたしが、馬鹿だった」
「学習しないよねほんと。ま、そこがかわいいんだけど」
「ぃ…………っ、た」
そのまま右手が壁に押し付けられて。
手首に痛みが走る。
「ねぇ!!女の子には優しく、って、昔誰かに習わなかった!?」
「したよ。優しく」
にこりと爽やかに笑う顔は天使なのに。
真っ黒い羽とツノが見えるのは何故だろう。
「それに俺言ったよねちゃんと。帰らなかったのは、楪だよ?いくらでもたくさんチャンスはあげたのにさ」
するり、と頬に伸びてきた手のひらを左手で思い切り払いのければ。
爽やかににこやかな目元が細く、鋭くあたしをまっすぐ射抜く。
「二重人格だって知ってたら帰った!!」
「知ってたじゃん、楪とっくに」
「…………」
そうだった。
そうだった。
知ってた。
こいつの二面性。
「そろそろ始めようか」
「は?」
「たくさん気持ちよくしてあげるから」
「や、待って!!ストップ近付くな!!」
顔が近付いてきて、至近距離。
キス、されたくなくて顔を思い切りそらした。
「諦めて」
顔ごと。
桜咲の右手に捕まって。
後ろの壁に押し付けられるように、力を入れられたら。
こんなの、動けない。
力でなんて敵うわけないじゃないか。
「んく…………っ、ん」
唇が重なって。
歯を食いしばる。
絶対こんな奴の思い通りになんか。
「っ」
なのに。
お見通し、とでも言うように。
捕まえられた顎が上向きに押さえつけられて、息が、出来ない。
左手で桜咲の右手に爪を立ててやるけど。
全然ビクともしなくて。
口を開いたその瞬間。
ぬるっと舌が侵入してきた。
「ん、んぅ!!」
顎から右手が離されて、代わりに右手は後頭部。
激しく動きまわる舌から逃げたくても、身動き出来ない。