第2章 性癖ヤバめな変態に狙われました
目の前のテーブルには。
ローストビーフにスープ、パスタなどが処狭しと並べてあって。
めちゃめちゃ食欲をそそる色や匂いにそのままテーブルについたんだ。
「デザートもいる?」
「…………」
デザート…………。
桜咲が持ってきたふたつのお皿へと視線をうつし、しばし思考停止。
「あれ、ごめんティラミス嫌い?」
「いや好き」
「そう?良かった」
「…………」
「あ、楪シャワー派?浴槽派?」
「…………ゆっくり、お風呂はいるタイプ」
「ならお風呂溜めてあるからこっち洗い物してる間、入ってくれば」
「…………」
「楪?」
「…………うん」
ざ、ばぁ。
ウチのワンルームアパートとは比べものにならない広さの浴槽へと身体を沈め。
足を伸ばす。
「…………足、伸ばせんだぁ」
いいな。
広くて。
「・・・・・・あれ?」
長すぎる昼寝から起きて、豪華な夕食食べてデザート食べて、広いお風呂とか。
「何これ、最高じゃん」
え。
え。
あれ?
って。
和んでどーするあたし。
お風呂まで入ってどーすんだよ。
着替えとか着替えとか着替えとかーっ。
あー、バカあたし。
何普通にお風呂まで入ってんの。
これ。
駄目だ。
帰ろう。
もう帰る。
絶対帰る。
「楪、ごめんこれ俺ので悪いけど着替え置いとくから」
「…………」
タイミング。
なんだ、これ。
最高かよまじ。
はぁ。
ため息ひとつ。
今度は浴室のドアを開けた。
「…………っ」
途端に。
思考停止。
「…………楪ってさ、頭緩いよね」
「は…………」
「こんな簡単に釣れちゃうんだ」
ちょ、ちょっと待って。
何。
平然と。
あたし。
今。
「…………へぇ?ゆるゆるな頭でも羞恥心、あるんだ?」