第1章 悪夢の始まり
「…………かわいい楪。ほんと運ないな。こんなのにつかまっちゃうなんてさ。もう、絶対離してなんてやらないから」
「…………?」
何、か言っ…………?
全然、理解、出来な…………。
「いいよ楪。少し休んで」
視界が、覆われて。
闇に消える。
同時にあたしの意識も。
闇に消えた。
「…………ん」
あれ。
ここ?
知らない、天井。
どこだっけ。
まだ頭ボーっとする。
ボーっとするままに隣を見れば。
隣には当たり前のように桜咲が、寝てて。
「!!?」
反射的に慌てて飛び起きれば。
ガチャン!!
て。
右手が何かに引っ張られた。
「…………は?」
状況が、全然飲み込めずにとりあえず首を傾げ。
「はぁっ!?」
状況が全然わからないのは同じにしても。
右手に何故こんなものがついてるのか、全っ然わからなすぎて思わずあげた大声。
それに呼応するように。
隣で桜咲が目を擦りながらモゾモゾと動き出す。
「ちょっと!!何これ!」
「なんだやっと起きたの。楪ちょっと寝過ぎ。こっちまでつられちゃったじゃん」
「おっきく悠長に欠伸なんかしてんな!!何これ!」
「手錠♡」
「はぁ?なんで!」
「今日金曜だし、週末楪とずっと一緒にいたくて」
「は?無理やだ」
「うん、だからね、これ」
「…………発想がすでに犯罪なんですけど」
「おかしいなぁ、さっきはあんなにねだってかわいかったのに」
「っ、な…………っ、ば!!」
「…………楪ほんと、かわいいよなぁ。俺のものにしたくなっちゃった」
「はぁ?」
「好きになってよ。俺のこと」
「…………無理」
頭沸きすぎ。
とりあえずこれ、犯罪だから。
監禁罪とかってやつ。
「大丈夫。週末ずっと楪快楽漬けにして、堕として、俺なしじゃいらんないくらい、気持ちいいのいっぱいしてやるから。ね」
「…………」