第1章 悪夢の始まり
「…………ごめんもう、切る」
『え』
「あとで楪から掛け直させるから」
ピ。
て、スマホのキー操作音が、耳へと響く。
けど。
それが通話終了を意味するものだ、って理解が、できない。
集中、出来ない。
意識が、考えが、まとまらない。
「悪い楪。やりすぎた」
桜咲の、冷たい指先が頬に触れる。
「…………辛そうだね」
熱い。
クラクラする。
息を吐き出して逃すのに、酸素が入ってこない。
吐き出してばっかで、呼吸、苦しい。
「いいよイって」
ぐ、て。
桜咲が引き抜いたそれを奥まで一気に腰を沈めて。
腰が、浮く。
「…………ふ、ぅ…………ッ」
身体に知らずに力が入れば。
唇を割って、桜咲の指先が、入ってきた。
「これ以上噛んだら唇腫れるよ。血、出てる。もう誰も聞いてないから大丈夫。イっていいよ楪」
「…………ッ」
フルフルと首を横にふれば。
「理解出来てない?ああそっか。もう頭、まわってないか。さっきから奥突いてるわりになかなかイかないもんね。いいよ、それならそれで。噛むのはこっちね。指あげるから、こっち噛んで」
気持ちいい。
気持ちいい。
気持ちいい。
なのになんで。
イきたい。
のに。
イけない。
「…………さっきの緊張、取れないか」
「…………さ、き」
「うん?」
「…………きた…………」
「うん」
「イき、た…………っ、桜咲。イきたい…………っ。キス」
「ん?キス?したい?」
「したぃ…………ッ!!キス、きもち…………」
「…………」
桜咲の首へと両手をまわすと。
少しの間の、あと。
桜咲のあったかい唇が、触れた。
これ。
…………気持ちいい。
奥。
突かれながら舌吸われんの、きもちー…………。
「んん…………っ!!ん、んんぅ…………ッ」
やば。
気持ち。
きもちくて、ねむく、なる…………。