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変態王子の恋愛管理

第1章 悪夢の始まり




ふーって。
息を吐き出しながらそれを引き抜くと。
ばちん、て。
所謂、ゴム、を。
器用に縛って見せた。



「はじめから付けてたけど?」




「え」




悪戯に目を細めて笑う桜咲を視界に写した瞬間。
かぁああ、って。
顔の血管、全開。
だって。
全然、付けてる感じ、しなかったし。
感覚、だって。



「で。」


羞恥心で桜咲と視線をそらしていたその隙に。
覆い被さるように桜咲がマットに両手ついて。
あたしを見下ろす。


「ずっと俺といるんだっけ?お友達とのお出かけ、しないんだっけ」


「…………」



す、と。
目を泳がせながら視線を逸らせば。
少し間の、後。
桜咲がガサガサ、とあたしの両手の拘束を解いた。



「今、お友達に電話して」
「は?」
「行かないって」
「…………あんなの、無効!!だし…………っ」
「無効?」
「あんな、騙す、みたいなの…………っ」
「俺なんも言ってないよ。勝手に勘違いしたの、楪だよな?」
「く…………っ」
「自分で言ったの、取り消すの?」

「…………」


あくまで視線をそらし続けていれば。
少し間の、あと。


「わかった」

怖いくらいに低すぎる声に。
肩が跳ねた。


「やっぱり優しすぎた?もっと監禁して、楪の全部管理しようか。朝も昼も全部管理して、夜はとことん可愛がってあげようか」


「…………」



うん。
やりそうでまじ引くんですけど。
こいつならやる。
犯罪者だもん。




「…………あ、茉莉花」



無言の圧、まじ怖っ。
思わずガサゴソとスマホ探しちゃったじゃん。



「うん。うん。ごめん。やっぱ今日、無理っぽい。うん、そう」




『やっぱり王子許可してなかったんでしょー?けっこう独占欲強い感じだよねー』



茉莉花さん。
声でかいから…………。
この距離じゃ聞こえちゃうじゃん。


チラリ、と桜咲に向けた視線。
それはいとも簡単ににこりと満面の笑みで、拾われた。


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