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変態王子の恋愛管理

第1章 悪夢の始まり






「…………」



なんで。
今しがたカフェで起きた公開告白がすでに大学中に広まってんのよ。
あっちでヒソヒソ。
こっちでヒソヒソ。
ここは動物園じゃないっての。
見せ物料ふんだくってやるからね。
あーもー!!
ろくなことない。
なんなの。
厄日なの?



「楪」


…………いや、前言撤回。

よくよく聞き覚えのある声に自然と顔の筋肉が緩んでしまう。
駄目だめ。
こんなニヤケ顔、絶対見せらんない。


「楪」


ぽん、て。
肩に手のひらが置かれて。
す、て笑顔が引いていく。
これはもうほんと、条件反射とでも言うべきか。


「結弦先輩」

「すごいな楪。びっくりしたよ、桜咲となんて接点あった?」

ぐ…………っ。
よもや先輩の耳にまで届いていようとは。


「ないですよ」
「え」
「昨日初めて会話しました」
「え、何それ。あって1日でプロポーズ?」
「は!?プ、ロポー………っ、はぁ?なんですかそれ!!」
「いや、なんかみんな噂してる…………」
「デマです!!信じないでください!!」
「はは…………っ、だよなぁ。楪にそんな相手いるなんて俺も初耳だし。なんだ、やっぱり噂は噂だなぁ」


わしゃわしゃわしゃーって。
先輩の手が頭をぐしゃぐしゃに、撫でる。


狡いんだ。
彼女、いるくせに。
彼女以外の女の子にこんなことしたら、駄目だよ先輩。
嬉しくなっちゃうじゃん。
あたし。


「あれ、楪?」
「…………もー!!先輩いつもそれやるから!髪ぐちゃぐちゃ!!」
「あー、ごめん悪い悪い。そーいや絵里にも言われたなぁそんなこと。女の子に気安く触ったらセクハラで訴えられるーって。」

「…………」

そうだよね。
彼女からしたら、いい気しない。
さりげなく牽制させられちゃってんの、きっと先輩気付いてないんだろーなぁ。


「先輩こっちになんの用です?」
「あ!!そうだ絵里と昼飯!!あっちのカフェ改装中でさ、約束してたんだった。悪い楪、またな」

「はーい」


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