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変態王子の恋愛管理

第1章 悪夢の始まり



「ほらほら、はーやーく」



最低。
最低最低。
こんなやつに、自分からキスしなきゃなんないなんて。
言いなりになんなきゃなんないなんて。




「…………っ」


ぎゅ、て。
目を閉じて。
舌を伸ばす。
ぬる、って。
舌先が触れた感触を、感じた途端。



「ふ…………っ、ん」



案の定。
ぐ、って肩を抱き寄せられて。
そのまま深く口が重なった。
呼吸が苦しくなってゆっくり目を開ければ。


「!」


じ、とこちらを見ていた桜咲と視線がぶつかり。
瞳が。
不敵に揺れた。



「楪って、キス下手だよね」
「は?」
「あんまりしたことない?」


かぁああって、全身の血液顔に集中する。


なんで。
なんでこんなやつにそんなことまで話さなきゃなんないのよ。
誰が答えるか。
もう、なんにも答えたくない。
ってか。
話したくない。




「かーわいーいなぁ。羽衣ちゃんは」
「気安く、呼ばないで!!」

あ。
また。
この顔。
瞳の面積が、細くなって。
馬鹿にしたみたいに、揺れる。


「し、そろそろ黙ろうか」


「ふ…………っ、んん!!」



顎が人差し指ひとつで、最大限まで持ち上げられて。
ほぼ真上を向いた状態での、キス。
苦しくて。
つま先立ちになっても全然苦しさ変わんなくて。
涙、出てくる。
こいつ絶対、わざとだ。
涙なんか見せたらこいつの興奮、煽るだけだって。
わかってる。



「…………はいおつかれ。苦しいのに頑張って耐えてる楪、すごくかわいかったよ。ごちそうさま」




プツン、て。
バンドが外されて。
桜咲が出て行った個室のトイレ。



あたしはそのまま。
腰から床へと崩れるように、座り込んだ。
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