第15章 食事とお酒と媚薬
「リューさん、この前の人たちはどうなったのですか?」
忘れそうになっていたが、媚薬を盛ったあの店は色々と大変だったらしい。避妊も完全ではなかったらしく、美人の女中さんたちはお店を止めざるを得ない状況となり・・・。
「今では、普通の食堂だ。辞めさせられた従業員たちは、ネルたちの息子が営む店に雇って欲しいと来たそうだが断った様だ。身の丈に合った商いをするとの事で、今までと変わらず頑張っている。」
「それがいいですね。」
「ただ・・・ラーメンもレクチャーしたのだろう?ノーチェ様がお忍びで食べに行っているそうだ。」
貴族が生活するお城の料理人にラーメンをレクチャーするのは、リューさんが止めてくれた。ただ、その料理人たちがネルさんの息子さんが営む店の常連だと言うことを私は知らない。
「最近、私の体調がいい。きっと、エイリンの料理と薬のお陰だな。」
現世の栄養ドリンクを作った私の薬をリューさんは愛飲している。そう言えば、成分から考えて媚薬も作れない事はない。
あんなものを作ってリューさんが飲んだら・・・淫らで甘美で・・・言葉にするのも憚られる様な一夜となる事だろう。
これ以上、リューさんを元気にする必要はない。今でも十分だ。私の身がもたない。
でも、私は薬師だ。作ってみたい・・・そんな衝動に駆られる時はある。
「どうかしたのか?」
「いえ、媚薬の高濃度って何処まで出来るのかな・・・なんて。し、仕方ないじゃないですか。薬師として興味が・・・えっと・・・。」
「止めはしないが・・・作ったのなら、私のこの身体で試させてくれ。」
立候補してくれたが、そんなことはさせられない。
「何なら、新婚初夜に試すのも面白いかもしれないな。三日三晩くらい、エイリンを愛することもやぶさかではない。」
「あ、あははは。」
私は笑ってごまかした。三日三晩だなんて、絶対私は死ぬ。
高濃度の媚薬か・・・薬師として、血が騒ぐ。いつか、機会があれば・・・。