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清算は断罪と共に

第14章 悪役令嬢


「まぁ、続けても意味ないけど。アンドリューは私のものだよ。私の承諾無しに、婚約も婚姻も認めない。それは、父上もお認めになっているのだけど。」
「で、ですが、この者はノーチェ様の側用人。ならば、公爵家のこの私と婚姻を結んだ方が利点が多いかと思われます。」
「無いよ。利点なんて一つもない。害にしかならないのに、認める訳がないだろう?それに、私はリューの婚約者の事も気に入っている。だから、お前の勝手な言い分は許可出来ない。それとも何?ワザとこの私がアンドリューから嫌われようと仕組んでるとか?」

背筋がゾクリとし、寒さを覚えてリューさんにしがみついた。

「私は甘くないよ。今までアンドリューはお前のことを不問にして来たけれど、この案件は私が父上に報告する。家で蟄居を命じるから、さっさと目の前から消えろ。二度とリューにもリューの婚約者にも関わることを禁ずる。」

キャンキャンと吠える令嬢は、ネルさんに追い出された。いい仕事をする有能な人だ。

「リュー、だから言っただろう?あの時、不問にしたから付け上がらせたんだ。」
「世話になった。」
「えっ、王太子の私を呼びつけておいてそれだけ?」
「何だ、熱い抱擁でもして欲しかったのか?」

今の会話は、友人同士としてのものだろう。

「まぁ・・・リューは加減しないから、あの時は放っておいたのだろうけど。今回のことは、私が動くから大人しくしててくれ。」
「よろしくお願い致します。」

深々と頭を下げるリューさん。切り替えが早い。

「なるべく早い内にエイリンと婚姻を結んでくれ。そうすれば、こういう面倒事だけでも減るだろうからな。」
「余計なお世話だ。エイリンとのことは、二人で話し合って決める。」

またまた、切り替え友人バージョン。私に向かって何か言いたそうな顔をした王太子だったけれど、直ぐに目の前から消えてしまった。

「今の事は気にしなくていい。私はエイリンがいいと思えるまで待つ。」
「・・・あの人はどうなるのですか?」
「適当に見繕った結果がこれだったから、もう一つの手段を取ることになるだろうな。」

もう一つの手段とは、定番の修道院行きだった。

「悪い縁談ではなかったのだがな・・・全ての行動が、今の状況を招いた。自業自得だ。」

冷たく聞こえるが、仕方ないことなのだろう。
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