第13章 救世主
真剣な眼差しに、私は以前のことを思い出した。
(逃げられない・・・)
「で、でも、まだ出会って間が無くて・・・い、嫌だと言っている訳ではなくて・・・た、ただ・・・私もアンドリューさんの傍にいたい。」
「婚約者としてでも、無理でしょうか?私はエイリンとの未来の確固たる約束が欲しい。そうでなければ・・・愛するエイリンを身分からも守りにくい。」
結果的に、私はアンドリューさんに絆されてしまった。イケメンってズルい。
そして、婚約証明書はその翌日には締結された。アンドリューさんこそ、用意周到なのでは?その上、私に対する甘さは深くなっていった。
「・・・か、身体のあちこちが痛い・・・。」
「ごめん、エイリン。つい、昨晩は張り切ってしまった。でも、可愛いエイリンが悪いんだろう?あんな風にしがみつかれたら理性をなくす。」
朝から艶々した(アンド)リューさんは、婚約者となってから口調が変わった。距離がなくなった気がして嬉しい。呼び方も変わった。って、また手つきが妖しい。
「リューさん、何をしようとしているの?」
「ん?エイリンを愛でようかと思っているだけだよ。」
私の耳を甘噛みしては、水音が耳を刺激する。
「だ、だめだよっ、もう朝で・・・。」
「だめだと言いながら、身体の方は私を望んでいる様だけど?直ぐ終わらせるから、もう一度だけエイリンを・・・ください。」
最後に敬語でのオネダリだ。もう、本当にズルい。つい、お願いを聞いてしまうのだもの。
色気を醸しつつ睦あった後、私はリューさんに綺麗に洗われてしまった。確かに、時間は早いかもしれない。でも、内容は濃い。
朝から超ご機嫌でお城へ向かったリューさん。皆が微笑ましそうに見ていて、私は居たたまれない。
でも、リューさんは私のピンチに駆けつけてくれる救世主で大好きな人。黒い悪魔と言われているみたいだけど、どんな中二病的な名前とは思うものの気にしていない私。
でも、あんな暴言を吐かれるリューさんを見ることになるとはこの時は想像もしていなかった。けど、大丈夫。私はリューさんの味方だよ。
私だってリューさんを守るよ。私のリューさんを傷付ける人は許さないんだからっ!!