• テキストサイズ

清算は断罪と共に

第10章 落ちた聖人


俺がこの地下牢に捕獲されて、かれこれ七日が過ぎた。忌々しいが、この状況を何とかしようと私の世話をするこの店の若い女を手ゴマに引き入れた。

最初は世間話しから始めて、俺はこの容姿を活用し今ではこの若い女であるミオを情報係として手中に収めた。そんなミオも、最初はそっけなかったのだけど。

それでも、今までと同じ様に優しく下手に声を掛けていれば同情を誘えて今では俺の助けとなっている。エイリンの事は、ミオが探りを入れて色々と話しを聞けた。

どうやら、この国の王子からの魔の手から逃れて逃げたらしい。きっと、俺の元に帰りたがっているはずだ。早くここから出て、俺のエイリンを助け出さなければ。

一日でも早くと心が逸るが、何日も掛けて虎視眈々と状況を見極めていた事で逃げ出せる算段が付いた。ミオには、エイリンのことは誤解だと言ってある。

エイリンの方が俺に夢中で、俺はミオを気に入っていると何度も話しその気にさせることに成功した。町に戻れば、俺の妻として家を盛り立てようと言っている。贅沢をさせてやるし、仕事もしなくていいと言えばこの馬鹿な女は飛びついた。

日頃から、この店の悪態をついていた女だ。目の前に餌をぶらさげたら直ぐに引っかかった。さて、ここから逃げるのは明日の早朝。

ミオにつるんでいた奴らに連絡を付けて貰い、今日から出掛けたあの爺さんと別として会合に出掛けたその息子の留守を狙って計画通りに事を運ばせた。


翌朝の早朝。まだ、誰もが寝ている時間。ミオの計らいで、俺は久しぶりに外に出る事が叶った。爺さんたちは、エイリンの行き先を調べる事で俺のことは放置だったのが良かった。

薄暗い町の中、つるんでいた男たちと合流し俺は約束通りにミオを売った。お金が必要だったのもあるが、下手に騒がれても困る。

薬を嗅がせては意識を失くさせ、俺はそのまま用意された馬車に乗ってある国へと出立した。今回の事で、ミオを売ったお金の二割しか手に入れられなかったが妥協した。

エイリンは上手く逃げられたと思っているだろうが、俺はエイリンを手に入れるまで何処までも追うつもりだ。次の国での手初めてとして、つるんでいた男から紹介された仲間に会いに行く。

お金さえ渡せば何でもやる輩らしいから、俺の手助けもしてくれるだろう。その前に溜まった鬱憤を晴らす為に、女を買いに行こう。



/ 116ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp