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清算は断罪と共に

第7章 水面下


「あの時は本当に助かりました。貴女は命の恩人です。」
「いえ、お元気になられたみたいで良かったです。」
「それと・・・あの時は、貴女を助けられなくて本当にすみませんでした。」

助ける?つまり、この人もマーキュリー国のこと知っていたってこと?

「言い訳にしかなりませんが、あの時の私ではどうすることも出来なかった。だから、せめて・・・。」
「我が国に助力を求めて来られたのですよ。貴女を、魔の手から救い出す様に。」
「・・・魔の手。」

今までの優しかった人たちは、理由があってのこと。全てが偽りの優しさだったのだ。震える手を、そっと握り締めてくれたのはアンドリューさんだった。

「よく頑張りましたね。」
「セドリックのことは・・・。」
「貴女をあの町に縛り付けておく保険ですよ。予想外だったのは、あの者が貴女に執着したこと。」

そう言えば、追い掛けて来たって・・・。

「詳しい事は明日にして、今は食事でもして身体を休めましょう。私にお付き合い願えますか?」
「はい。」

後で教えて貰ったのだけど、あの人はヴィーナス国の王太子で名はローウェンと言うらしい。そして、私が連れられて向かった先は、城下町にあるアンドリューさん馴染みのお店だった。

良かった・・・貴族のお店とかは緊張で疲れそうだと思っていたから。住人たちも気軽に利用している、そんな隠れ家的なお店だった。

オーダーはアンドリューさんのおススメをお願いし、ホッと一息ついた。

「アンドリューさんは、どうして私を助けようと思ったのですか?」
「あの方は正真正銘の立場あるお方。恩を売っておくには、十分でしょう?」

正直な物言いに逆に好感を持てた。

「聞けて良かったです。」
「貴女は、聡明な方の様ですね。」

どうやら、お気に召されたらしい。その後は、食事をしながら世間話しをして時間を過ごした。その後、向かった先は豪華な屋敷とかではなく、それでもそこそこ大きな一軒家。

中に入ると、年配の男性と女性の一人ずつと、二人の若い男性を紹介された。そう大きくない家だから、今のままで十分だと言ったアンドリューさん。

ある一室に案内されては、入浴後早々に疲れから眠ってしまった。さて、明日はどんな内容を聞かされるのだろう。



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