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清算は断罪と共に

第5章 拾った権力者


「ほぅっ、ワシを薄情者にしたいらしい。」

って、言っている台詞と、目に涙を浮かべる顔と一致していないのだけど?

「分かったわ。一先ずは行くけど、永住するかはこの先の判断だからね?」
「勿論じゃ。如何にワシの住む町が素晴らしいか、全力を挙げて教えるから問題ないぞい。」

これはアレかな。前世でいう、プレゼン的な?

「でも、どうせなら色んなところを見て回りたいのよね。こんな機会、今までなかったし。」
「だったら、ワシの商売に付き添えばいい。色んなところに行けるぞい。」
「考えておくね。」

私も面倒な性格で、おんぶに抱っこは嫌な性分なの。それに、同じところで滞在するとリスクが大きくなりそう。面倒な人に気に入られるか・・・。

セドリックの事は兎も角、殿下は王子様だ。身寄りのない私などからすれば、雲の上の存在だ。それに、そうだよ。婚約者だって。

居るのかいないのか知らないけど。

「エイリン、殿下の顔は好みだったか?」
「えっ?顔?」

金髪碧眼の如何にもって言う見た目だった。一般論で言っても、見目のいい人だった。

「あぁ、今のエイリンの顔を見たら、殿下が不憫に思えてきたぞい。」
「エイリンの好みは?」

会話にコトラさんが混ざって来た。

「好みですか?う~ん・・・どうだろう。私の周りって、手の掛かる人が多いからそうじゃない人がいいかな。」
「面倒見がいいからねぇ、エイリンは。そうか、手の掛からない人か・・・。」
「あの国の王子は、誉れ高いお人じゃが・・・。」

何故、王子の話し?

「あそこの国の王子は、見目も更にいいしのう・・・。」

だから、どうして王子限定?

「一先ず、町に帰るかのう。」

おじいちゃの一声で、お爺ちゃんが住むマーキュリー国へと向かうことになった。

そして、私はこの時まだ気付きもしなかった。この世界には、とんでもなく綺麗なものがあるのだと。
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