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清算は断罪と共に

第5章 拾った権力者


港に到着し、次の町ウラヌス。町に到着したけれど、お爺ちゃんはこの町で滞在はしなかった。今度は、コクリさんから鳥便が来ていたらしい。

しかし、この文は私の目に触れることはなかった。今のセドリックの凶行というべき行動を、私に知らせたくなかったのだろう。という訳で、私はセドリックの行動を知らないままだ。

ただ、乗船したと言うことだけは知らされた。その事だけでも、若干引き気味だった私。お爺ちゃんはそれを見て、セドリックのことはそれ以上黙っていることにした。

でも、だからこそ休息しようとそろそろ考えていた時に、道端で倒れている若い男性を見つけたんだ。身形は抑えているけれど、何処からどう見てもいいところの人にしか見えない。

一早く私が駆けつけて体調を確認すれば、顔色は真っ青で脂汗をかいていた。腕が腫れていたので袖をめくり上げれば、紫色になって腫れあがっていた。

私は鞄に手を突っ込み、その若い男性に薬を飲ませ様とした。しかし、意識はなく口は開かない。何度も声を掛けたが、返答がない。

躊躇しなかったと言えばウソになる。でも、私は薬を口に含み口移しで男性に飲ませた。嚥下する喉を見て、一安心。振り返れば、お爺ちゃんが呆然していた。

「エイリンの行動力に何と言えばいいか・・・流石、薬師と言えばいいのか。それより、その人、嫌、そのお方は・・・。」
「お爺ちゃん、知り合いなの?」

お爺ちゃんは溜め息をついてから、皆に休憩を取る様に言った。従業員の皆さんに男性を荷台に運んでもらい、私も休息することにした。


数分後、私は驚愕の情報をお爺ちゃんから聞かされた。

「お爺ちゃん…もう一回言って?」
「じゃから、あのお方は隣国のヴィーナス国の王太子じゃよ。何でそんなお方がこんなところで倒れておったのか不思議じゃ。国は安定していると聞いておったのじゃが。エイリン、大丈夫か?」
「お爺ちゃん・・・私、不敬で打ち首?それとも斬首の刑?どっちにしても、私は生きていられないよね。」

顔色を真っ青にした私に、兎に角落ち着けと言われた。

「ヴィーナス国の国王様は賢王と言われるお方じゃ。それに、ワシとは懇意にして下さっておる。拾ってしまったからには、捨てておくことも出来ん。目的地は、ヴィーナス国に変更じゃな。」

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