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清算は断罪と共に

第1章 清算は旅の前に


今世の私の名前は、エイリン。平民扱いなので、姓はない。私が神様に依頼(あくまでもお願いの範疇だと思っている)したから、毎日の暮らしが困ることはなかった。

最初は戸惑うことばかりだった生活も、早くも一年が過ぎた今となっては過去の事。そして、異世界転生した私が助けたのは【ジュピター】という町に住むそこそこいいところのお坊ちゃんだった。

この世界で私の立ち位置は、薬師にしてもらった。勿論、魔法だって使える。流行病の為に薬を提供したことを、お坊ちゃんことセドリックは知らない。

私が薬を作る為に、森に採取に来ていた時に出会ったセドリックは元カレと違って何処までも優しくて、人助けが信条の人。

最初は交際を拒否していた私も、それが続けば情も湧く訳で・・・時が過ぎれば、一年後に結婚する婚約者となっていた。

優しい性格だから、この町の若い女性に人気があった事は知っている。でも、浮気する様な人ではなかったし、セドリックの家族にしても私を無碍にする人たちでもなかった。

だから、このまま結婚してもいいのかなって思っていたのだけど・・・今、それを後悔しようとしている。理由は、突然訳の分からないことを私に言って来た婚約者と、その直ぐ背後に派手な見た目の女性がいたから。

婚約者は、この女性が困っている様だから何か手助け出来ないかと思って声を掛けたらしい。何処からどう見ても、貴族にしか見えない容姿。服装だけは、町娘と変わらないものだったけれど。

仏頂面で、両腕を組んでは少々苛立っている様子にしか見えない。その態度もどうかと思うけれど、婚約者の主張はもっと有り得なかった。

「エイリン、俺の話し聞いてる?」
「聞いてる。」
「そうか。だったら彼女をこの家で世話してあげてくれるよね?」
「今凄く忙しいの。薬の配達で騎士団の詰め所に行かないといけないのよね。」

私の言葉に、セドリックは手を差し出した。

「この手は何?」
「家の鍵だよ。この家で待ってるから、鍵を俺に預けてくれる?彼女は疲れているみたいだから、早く休ませてあげたいんだよ。」
「貴方が面倒みるのが筋じゃない?」
「そうかもしれないけど、俺の家は家族がいるから無理だしエイリンは俺の婚約者だろう?だったら、これくらいのお願い聞いてくれてもいいじゃないか。」

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