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清算は断罪と共に

第3章 川沿いの町で


別れ際、コクリさんが慌てた様に走って来ては何かの包みを渡された。お爺ちゃんを見ると笑顔で頷いていたので、私はコクリさんにお礼を言っては受け取った。

船が出立してから、私はその包みを広げた。中身は、甘いおまんじゅうが入っていた。どうやらマースでの有名なお菓子らしく、私はみんなと分け合って美味しく完食した。

甲板で広い川を眺めていると、コトラさんに声を掛けられた。お爺ちゃんと変わらない恰幅のいい男性である。

「大丈夫かい?」
「コトラさん・・・えぇ、大丈夫です。」

気遣わし気な目で私を見るコトラさん。皆が心配してくれているのは分かっているので、努めて笑顔を浮かべる。

「未練は、本当にないのかい?」
「一生一人でいいかなとは思っていませんし、きっと、また何処かに出会いがあると思っているので。」
「何なら、誰か紹介しようか?」

笑顔でその申し出は辞退しておいた。

「お気持ちだけで十分です。」
「そうだった。食事の時間だよ。」

皆で食事をした後、遣る事が無い私はお爺ちゃんの肩揉みをしていた。

「お爺ちゃん・・・セドリックは、まだ後を追って来ると思う?」
「仮に追って来たとしても、このワシが門前払いするから心配するな。エイリンはワシの可愛い孫じゃ。」
「ありがとう、お爺ちゃん。」

向こう岸にある場所は、マースと違ってただの港しかないらしい。故に、最寄の町まで少し移動しないといけないと教えてくれた。

珍しいなぁと思っていると、向こう岸はよく災害が起こるそうでマースの様に港町が地理的に作る事が出来なかった様だ。

「念のために、最寄の町もなるべく早く出る予定じゃ。今の内に、ゆっくり身体を休めておいた方がいい。肩はもういいから、部屋で休んでいいぞい。」

お爺ちゃんの隣りの部屋に入り、私は寝床に寝転んだ。目を瞑れば、今までのセドリックとの事が思い出される。そして、あの訳の分からない事を言い出したセドリックの表情も然り。

もし、追い付かれたらセドリックは私に何を言うつもりなのだろう?ううん、多分だけど自分の言い分をゴリ押しするのだろう。今までそうであった様に。

私はこの世界の価値基準しか持っていない人間じゃない。だから、次はゴリ押しされたとしても聞き入れたりも譲歩もしない。

少し寝て、リフレッシュしよう。






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